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【2006.09.18】

18の夏だった。
僕は2回目の2回生だった。
学園にもやっと友達が出来た頃だ・・・
中浪で1年遅れて入学してきた化学工学科のテルと
同じく電気工学科のシゲだ・・・俺達は同い年だった。
後は取り巻きが少々
いやぁ、悪い奴等だったなぁ・・・
二人ともギタリストでバンドを組んでいた。
それに化学工学科の二級上の先輩TITOが加わって
いつも四人で吊るんで居た。
TITOは数少ない女子学生で学術賞を取る程の秀才だった。
まぁ、二級上とはいえ、実際は一歳上のオネエサンだった。
TITOは色白の美人でいつも髪を束ねていた。
う〜ん、シゲってば羨ましい!
TITOとシゲは付き合っていた。
学内で公認のカップルだ!
テル・シゲと僕は良く学校をサボっては、Jazz喫茶に入り浸っていた。
そこには秋吉久美子なんかも通って来ていた。
あの、「子供は卵でポンと産みたい!」って言った女優だ!
当時、磐城女子高に在学中の彼女はテルの知り合いで
良く酔っ払っては吐いていたので、テルが看病することしばしばだった。
結構な不良娘だったぞ!
受講の終わったTITOがいつもそこに加わった。
テルは磐城の四ツ倉出身、シゲは福島の川俣出身
TITOと僕は福島市内出身だった。
TITOとシゲと僕は、良く一緒に福島でも遊んだ。
そんなある日、TITOが言う。
「ヒデ坊、今日御飯食べにおいで!」って・・・
喫煙・飲酒の罪で、僕は退寮処分を受けていた。
手料理にありつけるなんぞ、願ったり叶ったりだ。
また、みんなでワイワイとやれる。
そんなつもりで、イソイソとTITOのアパートへと向かった。
トントン ”ちわぁ!朱雀です。”
ギィ〜 「いらっさい!入ってヒデ坊!」
あれぇ、あの恐れを知らない筈のTITOが・・・
いつも、メチャ明るい筈のTITOが暗い感じだ。
”お邪魔しまぁ〜す。”
”あれぇ、TITO先輩!? シゲとテルはぁ???”
「ううん、呼んでない・・・」
”ええ〜、自分だけですかぁ???”
”それは、マズイっすよぉ! 自分、女癖悪いですからぁ!”
「なに言ってるの・・・ちょっとヒデ坊に相談に乗って欲しいのよ・・・」
”ええ〜自分にですかぁ?”
”自分は機械工学科で下から3番目のアホですがぁ!!!」
「あはははは・・・知ってるわよ!留年君!」
「まずは、御飯食べなさいよ!」
”ハイ、頂きまぁ〜す。”
”あれぇ、うめぇ、TITO先輩料理お上手ですねぇ!”
”その手でいつも、ビーカーと薬品扱ってるなんて、もったいねぇです。”
「あはははは・・・お世辞言ってもなにも出ないわよ!」
”ハイ、ごっつあんです。・・・あっいや、本当です!!!”
TITOは食事の終わった僕にCoffeeを入れてくれると
ポツポツと話し出した・・・
「ヒデ坊、シゲからなにか聞いてない???」
”えっなにをですかっ? 自分は何も聞いていませんけど・・・”
「ほんとう?」
”えっ本当です。自分がTITO先輩に嘘つく筈ないじゃないですか?”
ジィー (こらぁ、顔寄せて見つめるんじゃぁねぇ!)
「ほんとうにホント!?」 ”ホントでっす!”
僕はようやくにと、ピンと来た。
シゲは女たらしだ・・・新しい女を作ったに違いない! PIN!
「シゲがね、別れようって言うの・・・ヒデ坊なにか知らない!?」
”いや、自分は本当になにも知らないです。”
”TITO先輩はガキの頃から知ってますけど・・・
シゲは川俣の出身だから、平に出て来てから知り合ったもので、
良く判らんです。”
「ほんとう?」 ”いや、ほんとっす!”
陳腐な男と女の別れ話に禅問答が続く・・・

やがて、TITOは感情の高揚に泣き出してしまった。
いつも思うんだけどさ・・・女の涙って卑怯だよなぁ・・・
どうしていいか、判らないものぉ・・・
「ヒデ坊、アタシ寂しい・・・」
”・・・” 気の利いた言葉はなにも浮かんでこなかった・・・
”先輩・・・ダイジョブですから・・・”
(☆なにが大丈夫なんだ???)
僕はただ、TITOの手を握って黙りこくるばかりだった。
どれぐらいの時間がたったのだろうか・・・
空気の重さに僕は負けてしまった。
”先輩、俺、練習に行きますから・・・”
「ああ、そうね、その為にアナタは此処に居るんだものね・・・」
”御馳走様でした。美味かったです。”
「ヒデ坊・・・また来てね・・・」
”ハイ、モチロンです。失礼します。”
練習なんか無かった・・・
僕はTITOの哀しそうな顔を見ているのがつらかったんだ・・・
あの時、僕に下心さえあれば・・・
TITOとの夏が始まっていたかも知れない・・・
多分、僕はTITOが好きだったんだと思う。
四六時中一緒に居ればさ、情も沸くよね!

僕には片想いの人がいたし・・・
なにより、16の時、人の彼女には手を出さないって誓っていたんだ!
TITOがどんな気持ちで僕を呼んだのかは判らない。
取り合えず近所だったので、子供の頃から知っていたし、
多くの時間を共に過ごした。
良く酔っ払っては・・・
”TITOォ〜センチのコンサートは絶対行こうねぇ〜”などと
いつも甘えてさえいた。
「ハイハイ、判ってるわよ・・・」
軽くいなされていたけどね・・・
だけど、それ以来・・・
TITOは僕達と遊ばなくなり・・・
研究室に閉じこもるようになった。
数回の学術賞を手にした彼女は某有名企業に就職したと
風のうわさに聞いた・・・
僕は忘れない、あの夏の日に
TITOが作ってくれた食事の事を・・・
何年か経って、突然お正月に電話をくれた彼女は・・・
「ヒデ坊、やっとだけど、卒業出来るんだね・・・
高専じゃなかったけど、良く頑張ったね!」と
短いお祝いをくれると・・・静かに電話を切った。
思い出のREFRAIN
忘れかけてた声が 受話器の向こうに響いてた
夢の中のような 不思議な時がひろがる
思いがけない 君の言葉に
僕の全てが光出す
あふれ出しそうな ときめきの中
君との夏が来る・・・
二年も前のことさ 君は彼のことで沈んでた
雨に濡れた君の傍で 慰めてた僕はピエロさ・・・
何度も君の肩 抱こうと思ったよ・・・
僕は知ってたよ 君の瞳が僕を捕らえる時のこと
僕は知ってたよ 君の心が僕を映してたことを
二度目の春が過ぎて 全てが思い出になる頃
ふいに舞い込んだ風が 閉じ込めてた心を揺り起こし
アルバムの中の君の顔 探してた・・・
思いがけない 君の言葉に
僕の全てが光出す
あふれ出しそうな ときめきの中
君との夏が来る・・・
By 
TITOとの夏は、僕に訪れることはなかったけれど・・・
なんだか甘酸っぱい想いが僕の中に残ったんだ。
TITOが電話をくれた春に、僕はダンガリーのスリーピースを手に入れ
成人式を迎えて、記念写真を撮った。
そこには相変わらずにと幼馴染と兄弟分が映っていた。
そして、僕は恋人と一緒に上京したんだ。
後日談
シゲは持ち前の世渡り上手で、無事卒業して就職した。
テルは二年後、放校処分となり・・・新宿二丁目界隈に棲息していた。
性同一性不一致症候群だったらしい彼は
雇われママとなりながらも、元気に生きていた。
音沙汰無しのTITOであったが、
恋人と帰省した僕は、福島市のスズラン通りを歩いている時に
思いがけなくTITOに遭遇した。
彼女もまた恋人を連れていた・・・
”TITOォ、元気ィ???”
「一番会いたくない人に会っちゃったわね・・・」
”へっ???”
「アタシ結婚するんだ!」
”ええ〜オメデトウ!!!”
それ以来、TITOに遭遇する事は無かった・・・
あの”一番会いたくない人”って、
どういう意味だったんだろう???
誰か判る人は、オシエテクダサイ!
なんだか、意味も無く甘酸っぱい想い出って
みなさんにはありませんか?
そう、ただただ、タイミングが悪かっただけの・・・
Teen-Ageに僕の事件は集約されているようで・・・
忘れ得ぬ想いを書かせて頂きました。
やっぱり、自分は恋をする為に生まれて来たのではないだろうか?
などと思う、今日この頃・・・
生きるもの全ては、愛する為に
生まれて来たのでは??? と思うんですよ!
う〜ん、恋愛どころじゃぁないんだけどなぁ・・・
ギックリ腰だしぃ・・・
諦めていいのだろうかぁ???????
そうそう、みなさんは沢山、素敵な恋をして下さいませね!
(FROM 朱雀RS)
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何の意味もなく・・・
Audi・メルツェデスの戦い
やっぱりAudiの方が
速いみたいだ・・・
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