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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2026.10.10】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 夭折の天才・川島雄三が描く、
 日本映画至宝の痛快エンターテインメント!

 これは1957年公開、フランキー堺主演の映画『幕末太陽傳』のキャッチコピー。

 今週の当番は、カリスマ彰氏です。

幕末太陽傳

(C)1957日活

 今回も短評3本で構成します・・ってか、だんだん長くなってきて「短評」とは言えなくなりましたが(笑)。

 

◆やっと鑑賞の映画「幕末太陽傳」は想像以上の大傑作

 生きるんでぃ!

カリスマ彰 映画「幕末太陽傳」(1957年 川島雄三監督 1時間50分 下掲ポスターはカラーだが映画自体はモノクロ)は見るのを切望していた映画だったがやっとそのデジタル修復版がTV(チャンネルNECO)放映されて録画して見た。

 「幕末太陽傳」

 映画.comによる解説とあらすじは以下の通り(一部筆者改変)。

◆『幕末太陽傳』の概要とあらすじ(映画.comによる)※一部筆者が改変

 川島雄三監督が1957年に発表した名作喜劇。幕末の文久2年、品川の遊郭で飲めや歌えやの大騒ぎを繰り広げた佐平次(フランキー堺)は、一文の金も持ち合わせておらず、遊んだ分を居残りで働くことに。しかし、お調子者の佐平次は自らの困難をものともせず(本当は計画的な無銭飲食なのだが)、遊郭に立ち寄った高杉晋作(石原裕次郎)やその盟友久坂玄瑞(小林旭)らとも交友し、巻き起こる騒動を次々と片付けていく。

 「幕末太陽傳」

 物語のベースは古典落語の「居残り佐平次」。脚本を手がけた今村昌平が助監督を務めている。音楽は黛敏郎。

 2012年、制作・配給した日活創立100周年記念事業の一環として最新のデジタル技術を駆使して映像修復した「デジタル修復版」が公開された。

 川島雄三(1918.2.4~1963.6.11  享年45)という夭折の天才映画監督の代表作だ。主役フランキー堺(1929.2.13~1996.6.10 享年67 )の29歳時の主演映画だが、彼の代表作と言っていいだろう。

 幕末を舞台にしたコメディで品川遊郭を舞台にして「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」「お見立て」の4つの落語が原案になっている。

 

 とにかく遊郭で八面六臂の働きぶりを見せるフランキーの若々しい姿に目が釘付けになる。これに幕末の不穏な世相が背景に浮かび上がる。

 金子信雄、山岡久乃、小沢昭一、西村晃、二谷英明、岡田真澄、芦川いづみ、殿山泰司、菅井きんなどの芸達者たちが脇を固める。映像はモノクロだがむしろ好ましい。

 
品川遊郭の女郎こはる役の南田洋子と女郎おそめ役の左幸子、
その間はフランキー堺。

 1957年公開の映画だか、黒澤明、小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男などの大巨匠か活躍していた1950年代の日本映画界にあって、川島雄三という天才が残した大傑作なのを実感した。

 日本映画の金字塔と言ってもいい出来栄えだ。川島雄三の他の映画も見たくなってきた。

◆黒澤明の映画「悪い奴ほどよく眠る」はやっぱり面白い!

 あばいてみせる!
 親を殺し、私をふみにじった現代の巨悪を!

カリスマ彰 NHKBS放映を録画した映画「悪い奴ほどよく眠る」(1960年 黒澤明 2時間30分)を見た。

 だいぶ前の録画なのだが、今回見てみようと思った理由は、「映画監督が選ぶベスト映画」という企画をYouTubeでたまたま見ていたら、フランシス・フォード・コッポラがこの映画をマイベスト映画のひとつに挙げていたからなのだ。

悪い奴ほどよく眠る

(C)1960 TOHO

 黒澤映画なら「七人の侍」「羅生門」「生きる」「用心棒」あたりを世界の名監督がこぞって挙げている中で、このコッポラの選択は印象に残ったのだ。

 誰かが書いていたが、コッポラ監督の記念すべき「ゴッドファーザー」第1作(1972年)の冒頭はあの有名な結婚式シーンだったが、それはこの「悪い奴ほどよく眠る」の冒頭が結婚式シーンだったことに触発されたのだという。

 

 名作揃いの黒澤映画の中では、この「悪い奴ほどよく眠る」については批評家は賛否両論に分かれているようだし、興行的には失敗している。ストーリーに無理があり自然さがない、冗長というのが主な否定論だ。

 長尺映画だがこれは見るしかないと重い腰を上げて見てみたのだが、私にはやはり面白かった。そのストーリーテリングの巧さはさすが黒澤の全盛期の作品だ。

 この映画が依拠した原案として「モンテクリスト伯」(アレクサンドル・デュマ)、「ハムレット」(シェークスピア)が指摘されているのだが、復讐や亡霊などのアイデアは普遍的な事例で、特にこの2作を参考にしたとは言えないだろう。

 あらすじは以下の通り。

◆『悪い奴ほどよく眠る』のあらすじ(Wikipediaによる)※ネタバレに留意して全体の3分の一程度の紹介にとどめ筆者一部改稿。

 土地開発公団の副総裁である岩淵(森雅之)の娘・佳子(香川京子)と、岩淵の秘書・西(三船敏郎)の結婚披露宴が盛大に始まろうとしている。汚職疑惑のある公団だけに記者もつめかけており、足に障害を抱えた花嫁を見て出世の踏み台などとのささやきも聞かれる。

 

 そのとき、披露宴司会役の公団課長補佐、和田(藤原釜足)が汚職関与の疑惑で逮捕される。急遽、和田の上司白井(西村晃)が代役を務めるが、新婦の兄辰夫(三橋達也)が祝辞の最後に新郎に向かって、妹を不幸にしたら殺すぞといい、さらに、運ばれてきた公団のビルをかたどったケーキの7階に赤いバラの花が刺さっているのにまた場がざわめく。

 それは5年前、公団の課長補佐・古谷が飛び降り自殺した窓だったからだ。 逮捕された和田は、検事(宮口精二)の尋問に黙秘を通して釈放されたのち、自殺しようと火山の火口に向かうのだが......。

 この他にも、笠智衆(検事)、南原宏次(検事)、志村喬(公団管理部長)、三津田健(公団総裁)、田中邦衛(殺し屋)、菅井きん(和田の細君)、賀原夏子(古谷の妻)、山茶花究(建設会社専務)、中村伸郎(建設会社顧問弁護士)、藤田進(刑事)、田島義文、三井弘次、児玉清(以上新聞記者。児玉は台詞なし)などの懐かしい名優が多数登場するのも楽しい。

 脚本は小國英雄、久板栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍の5人の共同執筆だが、ストーリー展開は舌を巻く巧さだ。

 

 黒澤映画を支えているのがこの共同執筆体制と言われている。誰かがまず第一稿を執筆、これをもとに旅館に数人の脚本家が集まり、読み合わせをしながら修正していくというシステムだ。加えて言うなら、ものすごい数のマルチ・カメラでの撮影というのも黒澤映画の素晴らしさの秘訣だと言われている。

 この映画「悪い奴ほどよく眠る」もモノクロだが、あまり古びていない。サスペンス映画としては第一級だ。そして映像自体の迫力が凄いのだ。映画を「写真」と呼んでいた時代に生きた映画監督らしいのだ。

 いずれにしてもやはり時代劇でも現代劇でも、こういうエンターテインメントを撮らせたら黒澤明は名人だと再認識した。

◆映画「帝都物語」の本当の主人公は「魔都」

 我を崇めよ

カリスマ彰 TV(WOWOWプラス)で放映された映画「帝都物語」(1988年 実相寺昭雄監督 2時間15分)を録画して見た。

 

 映画.comによる解説は以下の通り(筆者一部改変)。

◆『帝都物語』の概要とあらすじ(映画.comによる)※一部筆者が改変

 明治45年から昭和3年にかけての東京が舞台。かつて関東に独立国家建設を夢見て斬首された平将門の怨念を受け継いで帝都・東京を壊滅しようと企む超能力者・加藤保憲(嶋田久作)と当時の著名人、渋沢栄一(勝新太郎)、寺田寅彦(寺泉憲)、幸田露伴(高橋幸治)、森鴎外(中村嘉葎雄)、泉鏡花(坂東玉三郎)らの戦いを描く。

 荒俣宏原作の同名小説第1巻から第4巻までの映画化で、脚本は「夢みるように眠りたい」の林海象が執筆。監督は「ウルトラマン(1979)」の実相寺昭雄、撮影は「蜜月」の中堀正夫がそれぞれ担当。

 かなり前に見ているはずだが、ほぼ忘れている。いかにもバブル時代を感じさせるようなSFファンタジーホラー映画ということになるのかな。

 プロデューサーの一人には堤康二がクレジットされている。現在はほとんど消滅しかけている西武セゾン流通グループの総帥だった堤清二の長男である。

帝都物語

(C)1988 エクゼ

 公開された1988年は日本映画の世界で一世を風靡した角川映画の末期にあたり、その余韻がこの「帝都物語」にも感じられる。しかし明治・大正の実在の文豪・政治家が登場する荒唐無稽な映画だから、起承転結を真面目に考えても始まらない。

 映画の大団円の舞台は冒頭と同じ神田明神の境内。なぜか泉鏡花が易者をやっていて、死んだはずの加藤保憲らしき後ろ姿を目撃する。平将門の怨念を受け継いでいる加藤保憲役に嶋田久作という容貌魁偉な男優を起用したのは成功している。

 

 その大団円の音楽はヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」の序曲。音楽担当は石井真木だが、ちょっと違うんじゃないのかな(笑)。

 オールスターキャストで、平幹二朗、大滝秀治、桂三枝、佐野史郎、いとうせいこう、宍戸錠、西村晃、島田正吾、寺田農などが出演。

 東京は「魔都」であって、この映画は「関東大震災」(大正12年:1923年)からはなんとか立ち直ったが、やがて将来の太平洋戦争(1941年~1945年)で東京を焼野原にした「東京大空襲」を透視するということなのだろう。「東京直下型大地震」が言われる昨今だが、またこの「魔都」は破壊されて復活するのだろうか。

 

 今は焼肉屋のオヤジになってしまった若き日の石田純一が演じる辰宮洋一郎は大蔵官僚だが将門の怨念を加藤に注入する「依童」として重要な役を演じる。

 その妻辰宮恵子は巫女で原田美枝子が演じたが、洋一郎の妹の由佳理(姿晴香)及びその娘の雪子ともに今ひとつその存在の説明(かなり複雑な関係)が不足していて、このあたりがちょっと不満な映画だった。

 

/// end of the “cinemaアラカルト547「やっと鑑賞の映画
「幕末太陽傳」は想像以上の大傑作+2
」”///

 

(追伸)

岸波『帝都物語』の原作者荒俣宏は僕らより7つ年上で、『世界幻想文学大系』の監修に携わった人物。小説作品で陰陽道や風水を世に広めた功績がある。

 また博物学にも造詣が深く、『世界大博物図鑑』の資料として博物学の古書を購入して1億4000万円という莫大な借金を背負ったのだが、この『帝都物語』により得た印税1億5000万円で返済した。(よくやるよ!)

 この映画は僕もAmaプラで見たが、さすがに特撮の技術が成熟していなかった頃のチープなもので、ちょっと見るに堪えなかったな。

 奇抜な発想の原作が一世を風靡したのは理解できる。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

帝都物語

(C)1988 エクゼ

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト548” coming soon!

 

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